朝鮮半島に対する米国の軍事力誇示は北ではなく南向け?

このところ朝鮮半島情勢がキナ臭さを増している。アメリカはシリア爆撃が朝鮮民主主義人民共和国に対する脅しでもあることを表明し、空母カールビンソンを日本海(朝鮮東海)に急派して自衛隊との共同訓練も予定されている。

これは近く予想されるという朝鮮の核実験を牽制するためだとも言われるが、「強硬には超強硬で立ち向かう」という従来の共和国の外交スタイルに変化を与えられるとも思えない。プエブロ号事件板門店ポプラ事件の際に第二次朝鮮戦争の崖っ淵まで軍事圧迫をかけても、共和国は折れなかった。アメリカ側も、そのことは重々承知していることだろう。

むしろ今のアメリカの強硬姿勢は、流動的な韓国政治を念頭に置いたものではないか。5月の大統領選挙で共和国に融和的な政権が誕生することを妨げるため、戦争の脅威を思い知らせることで、韓国世論に圧迫を加えているのではないだろうか。

事実、ここにきて開城工業団地の早期再開に反対し、サード(高高度ミサイル防衛システム)配置を認めるアン・チョルス候補の支持が急速に伸びている。

朝鮮半島の安保危機を煽ることで、韓国世論を右旋回させようというアメリカの政治的演出という可能性も視野に入れた上で、朝鮮半島全体の情勢に注目していきたい。